得意先係のセリフ

銀行の得意先係は融資先にこう言います。

「社長、赤字にだけはしないでください。」

その理由は、前述したとおりです。

そういわれた社長は、なんとか赤字にだけはしたくないという心理が働きます。そこで、社長は顧問税理士にこう依頼するのです。

「銀行から、赤字にだけはしないでくれといわれている。なんとかしてくれ。」

こういわれた顧問税理士は、赤字にすると銀行融資にマイナスに働いてしまうのではないか、という心理が働きます。実際のところ、一般的な顧問税理士にとってこのプレッシャーは相当大きいでしょう。そこで・・・。

顧問税理士はどうするのか。

たいていの場合は社長の言うとおり、赤字にならないように決算調整するでしょう。いろいろな方法があります。

たとえば減価償却を停止する、短期の前払費用を資産計上する、貸倒引当金を計上しない、といったような税務上任意とされている会計処理を採用する方法がひとつです。

あるいは、在庫を水増し計上する、売掛金を過大に計上する、といったような粉飾決算がもうひとつの方法です。

いずれにしても、赤字を黒字にするこれらの方法は、繰越欠損金を考慮しなければ必ず税負担が問題となってくるものです。

本当なら赤字の決算を黒字にすると、税金分だけは必ずキャッシュフローの悪化を招くことになります。税負担をしてでも黒字にする必要に迫られてしまうのが、この得意先係のセリフなのです。

もちろん、得意先係のこのセリフは本業でしっかり利益を稼いでほしい、そのための施策を施してほしいという意味ですが、それがきちんと認識されないのは、これまでの行き過ぎた企業格付に基づく融資姿勢への、借り手の過剰意識なのでしょう・・・。

銀行マンの使命

リレバン時代の銀行マンの使命は、融資先への適切な指導にあると私は考えます。

特に地域金融機関については、これまでのような決算書上の数値のみではない、経営者の資質・技術力・資産背景などを適切に判定し、足りないところをアドバイスすることが必要になると思います。

そうでなければ融資先は成長できない時代なのです。

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この記事を書いた人

勝野 弘志公認会計士・税理士
顧問先の契約継続率が100%、事業計画作成支援で関与先の約8割が黒字決算という名古屋の会計事務所所長。

志を持つ起業家を支援する『起業家支援会計士』として、全8回の事業計画書作成講座、【士魂商才プログラム(起業編)】を中心に、売上アップのための会計セミナーや無料ブログシステム「Wordpress」の活用、iMovieによる動画編集、コンテンツ作成などの各種勉強会を開催、好評を得ている。

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