コンサルティング業務

このときの私は、かなりI社の経営方針の決定に深くかかわり、私の意見は会社の意思決定に大きな影響を与えていたと思う。

経営方針とは、すなわちリストラのことだ。

事業再構築という意味のリストラではない、まさに人員削減の意味のリストラだ。しかし、結局のところその計画はその後実行に移されることはなかった。金融庁の見方は正しかったのかもしれない。

時間がなさ過ぎたのだ。もっと早くから着手していれば、違った結果になった、そう確信している。

今回の件で私は特にコンサルティングフィーをとるつもりはなかった。そしてすべてが終わろうとしていたとき、H銀行の得意先係に、私はこういわれた。

「今回の件で報酬をとらないのですか?これだけ動いたのですから、相当なコンサルティング報酬を取るのが普通ですよ。」

しかし、私としては初動が遅かったと思っている。もっと早くからこうしたことができていれば・・・、という後悔の念のほうが強かった。そこまで深くI社に入り込むことができなかった、という思いだ。

自責の念

それだけではなく、もうひとつ、後悔していることがあった。I社の粉飾決算だ。利益を多く見せかけるため、何年も前に在庫と売掛金を操作していたのだ。

これは完全な金融機関対策であった。赤字になっては絶対にいけない-そういう状況のなかでの苦肉の策であった。翌年には操作分を戻すことを条件に、私は社長からの要望を受け入れてしまったのだ。

H銀行が事務所にやってきたときには、H銀行はその事実についてすでに百も承知だった。ちゃんと分析済みで、実態修正をしてあった。なんのことはない、黒字にして、払わなくてもいい法人税を払ってまでした銀行対策は、意味を成してはいなかった。

決算書というのは、というより、数字というものは、勝手に一人歩きをしていくものらしい。一度粉飾をして本当の数字というものが見えなくなってしまうと、経営者の頭の中にはその粉飾数値が残らないのだ。

-「のど元過ぎれば熱さを忘れる」-

粉飾なんてマイナスの影響があるだけで、本当に何の意味もない経営者の自己満足だ。

税理士の役割

中小の同族会社の場合、決算はほぼ顧問税理士が組むことになります。そのなかで、粉飾の依頼は結構あるでしょう。

伝票1枚でできてしまう粉飾決算。

顧問税理士の役割は、粉飾をNOと言い切ることです。そうなるまえに、しかるべき手を打つように、指導していくことなのです。

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この記事を書いた人

勝野 弘志公認会計士・税理士
顧問先の契約継続率が100%、事業計画作成支援で関与先の約8割が黒字決算という名古屋の会計事務所所長。

志を持つ起業家を支援する『起業家支援会計士』として、全8回の事業計画書作成講座、【士魂商才プログラム(起業編)】を中心に、売上アップのための会計セミナーや無料ブログシステム「Wordpress」の活用、iMovieによる動画編集、コンテンツ作成などの各種勉強会を開催、好評を得ている。

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