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銀行マンの役割(その2)

大切なのは指導機能

前述の事例は新規投資案件があった場合ですが、得意先係、ひいては銀行にとっては、既存の顧客の融資継続ができるように推進するような役割を果たすこともあると思います。
これは、顧客を指導する機能といえます。リレバンでいうところの、「取引先企業に対する経営相談・支援機能」です。

得意先係はかなりの顧客数を担当していると思います。信用金庫あたりでも一人当たり300先程度は担当しているのではないかとも言われています。そのなかには、利益を上げているところもあれば赤字続きのところもあるでしょう。多くの実例を得意先係は持っていることになります。それぞれの共通項のようなものも、その多くの事例の中から発見できるはずです。

得意先係にとって、それは大きな財産となります。よい事例が多ければ多いほど、それを基にした顧客指導ができるからです。

融資先の経営状態がよい場合には、銀行の融資姿勢も積極的に推進する方向に働くため、当該顧客の新規融資案件について特に懸念すべき事項はありません。

しかし、経営状態の思わしくない融資先については日常の運転資金の調達にも苦労するくらいだから、新規投資したくてもできない状態でしょう。大げさに言えば、そういった会社を時には指導し、時には資金援助をしながら、あるいは相談しながら、優良な企業に育てていく・・・。そういった役割も、銀行にはあるはずです。

得意先係は忙しい

ところがこの得意先係、とてもいそがしいようです。
銀行はこの十数年間、とにかくリストラを徹底的に進めてきたこともあり、人員不足に悩まされています。ぎりぎりの人数で業務をこなしていることと、そろえなければならない資料が多くなってきているためです。忙しいのは得意先係だけではありません。審査担当の融資係も同様です。

そのような中で、銀行が独自でリレバン対応をしていくのは至難のわざでしょう。コンサルティングスキルを維持・向上していくだけでも大変です。内向きの不良債権処理を何年もやってきたため、そういったスキル自体が落ちてきているという指摘さえあります。

融資姿勢は変化してきているのか

長らく言われ続けていた不良債権処理も数年前に一段落し、新聞紙上での大企業の好決算に代表されるように、日本経済の好調さは現在もなお引き続いています。
その恩恵はなかなか中小企業までいきわたらないといわれていたが、実際のところはどうでしょうか。

私の感じる限りでは決してそうではありません。大企業ほどではないにしろ、いい数字が出るようになって少なくとも3年は経ちます(ただ、それは極端な二極化を示しているのかもしれませんが)。銀行の融資の姿勢も、特に中小企業向け貸し出しについては以前よりも積極的になってきているのではないでしょうか。そういう印象すら受けています。

不良債権処理が一段落し、銀行は攻めの姿勢に転じてきたのでしょうか、または、リレバン対応のためのものなのでしょうか

得意先係のセリフ

銀行の得意先係は融資先にこう言います。

「社長、赤字にだけはしないでください。」

その理由は、前述したとおりです。

そういわれた社長は、なんとか赤字にだけはしたくないという心理が働きます。そこで、社長は顧問税理士にこう依頼するのです。

「銀行から、赤字にだけはしないでくれといわれている。なんとかしてくれ。」

こういわれた顧問税理士は、赤字にすると銀行融資にマイナスに働いてしまうのではないか、という心理が働きます。実際のところ、一般的な顧問税理士にとってこのプレッシャーは相当大きいでしょう。そこで・・・。顧問税理士はどうするのか。

たいていの場合は社長の言うとおり、赤字にならないように決算調整するでしょう。いろいろな方法があります。

たとえば減価償却を停止する、短期の前払費用を資産計上する、貸倒引当金を計上しない、といったような税務上任意とされている会計処理を採用する方法がひとつです。

あるいは、在庫を水増し計上する、売掛金を過大に計上する、といったような粉飾決算がもうひとつの方法です。

いずれにしても、赤字を黒字にするこれらの方法は、繰越欠損金を考慮しなければ必ず税負担が問題となってくるものです。本当なら赤字の決算を黒字にすると、税金分だけは必ずキャッシュフローの悪化を招くことになります。税負担をしてでも黒字にする必要に迫られてしまうのが、この得意先係のセリフなのです。

もちろん、得意先係のこのセリフは本業でしっかり利益を稼いでほしい、そのための施策を施してほしいという意味ですが、それがきちんと認識されないのは、これまでの行き過ぎた企業格付に基づく融資姿勢への、借り手の過剰意識なのでしょう・・・。

銀行マンの使命

リレバン時代の銀行マンの使命は、融資先への適切な指導にあると私は考えます。特に地域金融機関については、これまでのような決算書上の数値のみではない、経営者の資質・技術力・資産背景などを適切に判定し、足りないところをアドバイスすることが必要になると思います。そうでなければ融資先は成長できない時代なのです。

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